発達障害の子どもたちとの関わり方のポイント①
あすぽーとには様々な課題を持った児童・生徒が通所し、活動をしています。
ここでは私たちが子どもたち関わる上で大事にしている事をご紹介したいと思います。
大きな目的は「自己肯定感」を高める
療育を行う上で大きな目的は「自己肯定感を高める」という事を念頭に置いています。
トラブルや壁にぶつかってしまった時も「またやってみよう」と思える様に普段から「ほめて伸ばす」事が重要です。
二次障害を防止する
「自己肯定感」や「レジリエンス」という物を大事にし、ストレスにさらされる事をできるだけ防ぐことで、不登校や心の病気などの二次障害になるリスクを減らします。
iメッセージ(アイメッセージ)で伝える
iメッセージ(アイメッセージ)とは文字通り「i(私)のメッセージ」という事です。
子ども達に何か伝えようと思うとついつい「you(あなたが)」という風に伝えがちです。
望ましい行動に対しては
こちらが望む行動を行ったときはこの様に伝えます。
代弁して伝える
例えば、普段はおもちゃの貸し借りが苦手でついつい独り占めしてしまいがちな子が、友達におもちゃを貸してあげられた時は、
うわ~、今○○君(友達)はすごくうれしかったと思うよ~!
などと伝えてあげます。
「お母さん嬉しい」「先生嬉しい」
普通に「えらいね」「すごいね」などと伝えるよりも、
「お母さん嬉しいな」「先生は嬉しいな」などと私(保護者・支援者)の気持ちを伝えると、より子どもたちは受け入れやすい伝え方になります。
望ましくない行動に対しては
逆に、望ましくない行動(問題行動)をしてしまった時はこの様な事を注意します。
一方的に否定しない
友達に手を出してしまったり、ルールを守れなかった時のような望ましくない行動(問題行動)をしてしまった時はついつい「とにかくダメ!」となってしまいがつですが、「一方的に否定しない」事が大事です。
よくよく理由を聞いて、できるだけ理解するように努めます。
自分の気持ちを伝える
「望ましい行動に対して」と同じように、
- 代弁して伝える
- 自分の気持ちで伝える
事が大事です。
例えば、「○○君、今とても痛かったと思うよ。」とか「先生、とても悲しいな」などです。
意見を伝える
~しなさい、と強制的に伝えるのではなく、「~してみた方がいいと先生は思うけどな~」といったように、「意見」という形で伝えてみると受け入れやすいかもしれません。
ありのままを受け入れる
子ども達の自己肯定感を高めるためには、子どもたちの姿を「ありのまま受け入れる」事が重要です。
望ましくない行動(問題行動)を一方的に否定しない
「iメッセージで伝える」の項目でも触れたように、子どもたちの望ましくない行動(問題行動)を一方的に否定することなく、よくよく理由を聞いたり、その行動の前後の出来事を分析することが重要です。
じっくり話を聞く(傾聴)
ありのままを受け入れるためにはよくよく「共感」する事が大事です。
共感するためには子どもの話をじっくり聞く姿勢を作ります。(傾聴)
否定しない、助言しない
傾聴するにあたって大事なことは「否定しない・助言しない」ことです。
私たちはついつい、大人の目線では「それは間違っている」「それはこうすべきだった」とすぐ否定し、助言したくなってしまいます。
傾聴という段階ではまだ否定したり助言したりする段階ではありません。
どっしり構えて、落ち着いてとにかくじっくり話を「聴く」事に集中しましょう。
繰り返す
共感するために重要なスキルは「繰り返し」です。
子ども:「ついイライラしちゃったんだ」
支援者:「そうなんだ、イライラしちゃったんだね」
といった様に相手の言ったことを繰り返す事で、自分の事を理解してくれるような印象を与える事が可能です。
あいづち
あいづちも重要です。
「うんうん、それで?」
「そうなんだ~」
といったあいづちを使うことで子どもたちも自分の感じたことを素直に伝えてくれるかもしれません。
ほめる、認める
ありのままを受け入れるためには傾聴し、共感し、「ほめる、認める」事です。
承認する
心理学の専門用語では「承認のストローク」と呼びます。
子ども達をほめる時はこの承認のストロークを行うようにします。
様子を言葉にする
子どもたちの周りの様子やその子自信の様子を言葉にして、伝えてあげます。
「今日は寒かったね」
「宿題頑張ってるね」
「楽しく遊んでいるね」
変化を言葉にする
子どもたちの成長の変化を言葉にして伝えます。
大事なことは「他人と比較しない」という事です。
「背が伸びたね」
「計算問題を早く解けるようになったね」
「ゲームに参加できたね」
強化
「強化」というのはABA(応用行動分析)で使われる用語ですが、ある行動をした後に褒められるなどの良いことが起こるとその行動が強化され、行動の頻度が増えるという考え方です。
以下のようなポイントに注目して、できるだけ子どもたちをほめて、望ましい行動を強化していけるようにします。
当たり前をほめる
「ほめるところがない」などという声をたまに聞きますが、それは「求めているハードルが高い」事に他なりません。
まずはその子にとっての「当たり前」をほめてあげましょう。
それがきっと子どもたちに伝わり、頑張ろうという気持ちにつながっていきます。
プロセスをほめる
大人の世界では「結果(数字)がすべて」ですが、子どもたちと関わる上では「結果よりも経過(プロセス)をほめる」事が重要です。
結果はどうあれ、頑張っている姿をほめてあげます。
「宿題頑張ってるね!」
「途中までできたね!」
気持ちをほめる
「プロセスをほめる」と似ている部分もありますが、「(結果はどうあれ、)気持ちをほめる」ようにします。
「(イライラして癇癪を起しちゃったけど)我慢しようと思ったんだね。えらいね。」
「(ゲームをなかなかやめられなかったけど)やめようとして頑張ったんだね。えらいね。」
といった具合です。
まとめ
ここまで、子どもたちと関わる上で大事な考え方や関わり方を見てきました。
- 大きな目的は「自己肯定感を高める事」
- iメッセージで伝える
- ありのままを受け入れる
次回は、信頼関係を築くための関わり方を見ていきたいと思います。