放課後等デイサービスあすぽーと開所にあたって
子供達に自信を持ってもらいたい
勉強を通して身に付けることができるものとは、一体何でしょうか?
多くの方は「知識」や「成績」と答えると思います。しかし、実際勉強がもたらしてくれるものは、何よりも大きな「自信」なのです。
長年の学習塾運営を通して
私たちはこれまで、埼玉県内で「アップステーション」という名前の個別指導塾/進学塾を運営し、その中で多くの子供たちを指導してきました。
現在戸田市・川口市・蓮田市・白岡市に教室があり、創業18年目を迎えることができました。中には様々なタイプの障がいを抱えた子も在籍しています。学校の授業についていくのが難しい子、長時間イスに座っているのが苦手な子、学校に行くこと自体が困難な子…その特性はまさに十人十色です。
学習塾を運営してきた中で確信できたことがあります。それは、
「障がいを抱えた子・そうでない子に関わらず、勉強は子供たちに“自信”を与える」
ということです。
ややもすると、勉強は中間テスト・期末テストのため、受験のためだけにするものだと思われるかもしれません。テストや受験が過ぎればもう必要のないものだと。
確かにそれはある意味事実かもしれません。中間テストが終わった途端に一生懸命詰め込んだ英単語が抜けていったり、「こんなこと勉強したって将来一体何の役に立つっていうんだ…」と愚痴をこぼしながら理科の化学記号や数学の方程式を勉強したという経験は誰しもが持っているはずです。
現に、子供のころ勉強したことは将来大人になってから役に立たないことの方が多いです。しかし、勉強の本当の目的は決してテストや受験だけではありません。
勉強の本当の意味を教えてくれた、自閉症を抱えるW君との出会い
今から15年前
自閉症を抱えた小学5年生の男の子(W君)が、当塾に入塾しました。
彼は小学校低学年の時に病院でそう診断され、学校でも何かとトラブルに巻き込まれることが多い子でした。勉強も苦手で、学校の授業はいつもびくびくしながら受けているとのことです。
そのことをW君のお母さんは最初の面談時に包み隠さず教えてくれました。
居場所の提供
そんな彼に私たちがまず提供したのが、「居場所」です。
いきなり勉強を教えるのではなく、学校であったことやイライラしたことを全て吐き出し、スッキリさせた状態で授業を始めるよう心がけました。
すると間もなく、授業が無い日でも自分から塾に来ては勉強する習慣が身に付いたのです。
どうやらそれまでも「勉強しなくちゃ」という気持ちはあったものの、学校から帰ってもイライラが治まらずそれどころではなかったようです。
「先取り型」学習指導
そして授業では、「先取り型」の指導を行いました。
学校で教わった内容の復習ではなく、塾の授業の中であらかじめ学校の予習をするという指導スタイルです。新しい単元の指導をすることになるのでうまくいくか不安はありましたが、学校の授業を堂々と受けてもらうためには有効な手段と考え、実施しました。
すると、W君の学校生活は一変しました。塾で先取りをしたことで学校の授業に堂々と参加できるようになり、それまで滅多にすることのなかった挙手や発表の回数も増えていったのです。周りの見る目も変わり、テスト前にはW君のところに質問に来る子さえ出てきました。そしてそのことをとても嬉しそうに話してくれたことを覚えています。
勉強を通して身につけた「自信」
こうして自信を身に付けていったW君は、中学校でも普通級に通うことを決意し、高校受験では県内の中堅公立高校への進学を果たしました。
そして昨年度、無事「一般受験」で第一志望の大学への合格を果たしたのです。
もちろん、このW君の経験が全ての子供たちに当てはまるとは言い切れません。
しかし、彼が勉強を通して確固たる“自信”を身に付けたという事実は間違いありません。分からなかったところが分かるようになれば、勉強を少しでも「楽しい」と思うようになれば、それがその子の生活を変えるきっかけとなりうるのです。
W君が積み上げた成功体験を、より多くの障がい児たちへ
~あすぽーと誕生のきっかけ~
今、多くの小中学生たちがストレスを抱えながら勉強をしています。
その多くは「勉強が分からない」ことからくるものです。部活動、人間関係に疲れ、本当は勉強に時間をあてたいんだけれど体力的に追いつかない…でも学校の授業は自分のペースに合わせてくれない…こんな悪循環の中で毎日を過ごしている子供たちがクラスの半数以上を占めています。
さらに、実際W君のような成功体験を積んでいる生徒は決して多くはありません。
中には塾に通ってはみたもののついていけずに辞めてしまったり、その子にあう所が見つからず色々な塾を転々としてしまったり、あるいはそもそも塾に通わすことのできないご家庭もありますす。
ただでさえ自信を持つのが難しい障がいを抱えた子たちへ、もっと勉強の成功体験を積ませてあげられないものか…葛藤の日々は続きました。 そんな時知ったのが、「放課後等デイサービス」の存在です。ここならより多くの子供たちに一人ひとりの目標に合わせた指導や療育が提供できる…まさに私たちがやりたいことと合致していました。こうして誕生したのが、ここ「あすぽーと」です。
勉強が分かるようになれば堂々と授業に参加することができるようになります。挙手や発言の回数が増えれば周りの目も必ず変わってきます。これは障害を抱えた子・そうでない子関わらず全ての子どもに対して言えることです。学習塾を運営してきた「あすぽーと」が提供する療育プログラムに、どうぞご期待ください。
放課後等デイサービス あすぽーと
統括責任者 上杉 淳